ニセコイの読み方

作者の掌でうまく踊るには。

インタアネットの発展により、WJが感想コンテンツとなってしばらく経ちます。するといかにアラを探すか、みたいな読み方をして、したり顔で語る輩が跋扈跋扈です。しかし私などは思うのです。細けえ事ぁいいじゃないのよ。それよりこの作品は、作者がどう読ませたいのか。何が面白いと思って描いてるのか。それに沿って読んでやるのが一番楽しいじゃないのよ。「つい気になってしまう」ではなく、あえて見ないフリをしてやるくらいの心意気が必要です。ことWJに関しては想定読者が少年だし。

んでニセコイの話をします。
これはもう、ほぼ辻褄を合わせる気がない作品と言っていいでしょう。先日感想界に復帰されたYukimiさん(id:SnowSwallow)は、楽はラブコメ主人公の三大疾患「難聴」「鈍感」「痴呆」を抱えていると指摘します。もはや現代のヘレンケラーです。手に直接「L・O・V・E」と書いて知らせて、それでも気付くか怪しいレベル。

こんな奇病を抱えては、好感度は間違いなく下がります。古くは「いちご100%」の真中もよく死ねと言われていました。かくいう私もご都合的に尽きる楽の所業に関してはわりとファック死ねと思わざるをえません。なぜ古味先生はこんな病気を彼に? もちろん、萌え豚を騙すためです。女の子と都合の良い展開を繰り返すためです。これは困りました。我は基本ブヒらぬのでハーレムラブコメという構造自体に中指を立てたくなるのだ。

が、そんな我も、決してニセコイを楽しんでいないワケではありません。嫌いでもない。なぜか。
ひとつには、各ヒロインには一定見るべきところがあり、方言マリーは一途だし巨乳誠士郎はウブだし痴女寺さんは痴女です。まして、るりちゃんは女神です。中高時代を男子校で過ごした自分を思い返すと泣きたくなります。これはラブコメのラブの側面は積極的に無視して、女子コメとして楽しむ方法です。

そしてもうひとつ。
古味先生の絵柄は非常にライトでキャッチーです。あの悪名高きサウザンドニードルさんですら美女であり、そんな彼女が笑ったり泣いたりすればカワイイがあるのだ。恋染紅葉やソーマは絵柄がクドいためその点で若干劣り、美少女だけで楽しむに至れません。極論、ニセコイは扉絵だけでも楽しめる漫画で、漫画である以上間違いなくその楽しみ方もあるのだ。

作者が示してくれているうち、自分が踊れるとこだけ掌で踊る。
言ってしまえば簡単なことなんだけど、深く考えるほど意外とそれができてない気がするので、ちゃんと楽しまないと何のために読んでるのかわかんなくなるという話なのであった。